2014年10月13日月曜日

【書評】 平凡社新書、「金正恩の正体 ~ 北朝鮮 権力をめぐる死闘」

朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)、Watcherとして、過去20年に渡り、かの国に関する各種文献を、時間を見つけては読み漁ってきました。

そんな中で、平凡社から出版されている新書、「金正恩の正体 ~ 北朝鮮 権力をめぐる死闘」と言う本を、地元本屋をうろついている際に見つけ、この3連休で読み終えました。

圧倒的な情報量で、生々しいまでの政権内の権力闘争が描かれております。
今まで読んで来た、何十冊の類書を、遥かに凌駕する迫真性であり、読んでいて震えてきます。

本書は、金正恩第一書記が表舞台に出てきてからの2009年以降の「平壌奥の院」での権力闘争を金正恩第一書記の視点から、記載しております。

記載している内容に迫真性があり過ぎて、情報源の所在が気にはなりますし、翻って、その信憑性も鵜呑みにはできませんが、ここ数年の共和国の重大事件を、すべて説明できている事も事実です。

特に、本書の最後の方では、「共和国内の激しすぎる権力闘争→中国や米国との関係悪化→食糧危機を含む経済危機発生→日本との関係改善を志向。」と言う、現在の情勢を「平壌奥の院」の権力闘争と合わせて説明しており、説得力があります。

まあ、かの国にとって、今や日本しか頼れる国はなく、我が国にとっては、正に千載一隅のチャンスかも知れません。
我が国の政治家がどこまで、利害得失計算に徹せられるかと言う事が重要だと思う。
(民主化問題とかを、今の段階で持ち出すのではなく、もっと実利的に考えるべきだと思う。)

幸い、我が国と共和国との間には、領土問題は存在しておらず、その意味で、他の隣国との交渉よりも、ある意味、やり易いと思っている。

貴公子が想定するシナリオは、「共和国による拉致問題の完全解決→共和国と我が国の平和条約締結→両国の経済活動加速化→段階的な民主化」です。
北東アジアでも有数な資源国であり、かつ豊富で良質かつ安価な労働力の存在を考えれば、共和国と我が国は、経済分野で、Win-Winの関係を構築できるでしょうね。

今年夏のアントニオ猪木議員による、平壌プロレス興行からも分かるように、我が国のトップエリートも、上記シナリオに沿って、行動している様に見えます。
逆に言えば、我が国から経済援助を引き出せなければ、共和国は、近々にに崩壊するでしょうね。
近々と言うのは、おそらく数か月以内です。
(20年に渡る共和国Watcherとして、ここ1年位は、明らかに末期的な状況を呈していると考えております。)

かの国の崩壊は、米中韓も望んでおりません。
我が国の力の見せ所だと思います。
本件、注視します。

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