2017年2月18日土曜日

稼ぐアジアと簒奪する欧米

東芝の出血は、止まらないどころか、出血拡大です。
出血多量で、死にかけておりますね。
2/14は、東芝の第3四半期の業績見通し(決算報告書ではない)が発表された日ですが、「血のバレタインデー」として、ビジネス界で長く記憶されるでしょうね。

改めて、東芝の2/14レポートをアップします。
→ 「2016年度第3四半期および2016年度業績の見通し並びに原子力事業における損失発生の概要と対応策について」のお知らせ

早速、本レポートに対する分析記事が現代ビジネスのサイトに出ております。
背任、詐欺の可能性も…事件化の臭いもしてきた東芝のドロ沼
>しかもそうした状況に陥っていることを、東芝の幹部はS&Wの買収後1年近くも
>知らなかったとされる。つまり、7125億円の減損を今期決算で実行したとしても、
>今後、米国の原発が完成するまでにコストが膨らめば、さらに損失を背負わなければ
>ならないのだ。

ポイントはここです。
今回、7000億円強の減損をしても、終わりではないことです。
来期も、数千億円の損失が発生するかもしれません。

米国の原発メーカーWesting Houseと言う不良会社を、東芝は2006年に6600億円で買収したが、トンでもないババを高値で掴まされた訳です。
当初から、買収価格が異常に高いと言われていたが、2015年末にこのWHが、あろうことかS&Wと言う、不良企業を0ドル(つまり無料)で買収して、このS&Wの負債まで、負う羽目になりました。

東芝の他部門が、長年掛けて、蓄積した何兆円と言う富が、不用意な契約サインを一発しただけで完全に霧散した訳だし、しかもそのカネが米国企業であるWHやS&Wの「損失補填」に使われた訳だし、今後も使われる訳です。
今更ですが、努力して稼いだアジアの富を、契約一発で簒奪する欧米諸国のえげつ無さに脱帽します。
1万円とか10万円の利益を出す為に、現場は努力しているのに、契約一撃ですべてを簒奪する訳で、皮肉ではなく、大したものです。

さて、致命的なのは、この期に及んでも東芝の日本人社長は、記者会見で、「WHの買収は成功だったとは言い難い。」とか、「先輩」に配慮した発言を続けている訳で、危機感がないと言うか、サラリーマン過ぎます。
「ビジネス史に残る大失敗だった。無能過ぎる前任者が犯した犯罪行為だ。」と、なぜ言い切れないのでしょうか?
この甘さが、欧米に狙われる元凶だと思っております。

因みに、某メガバンクは、「それでも東芝を支える。」とか、まだ寝言を言っておりますが、このメガバンクも巻き込んで、東芝丸は海の藻屑と消えるかも知れません。
当然、欧米諸国は、メガバンクの富さえも簒奪する対象と見ております。
彼らは、こういう時は、徹底的にやりますから。
正に、血も涙もありません。

因みに、少し頭のある企業は、このババ抜きゲームから離脱し始めております。
IHI、WH出資分を売却へ 東芝に通知 189億円
この期に及んでですが、東芝にWH株をプットオプションで売りつけるIHIは、ギリギリですが何とか逃げ切れそうですね。

さて、超楽観的な東芝幹部は、稼ぎ頭の半導体部門を売却してカネを用意するとか言っておりますが、Bloombergの記事に拠れば、それはそれで簡単ではありません。
Toshiba Memory-Chip Unit Is Alluring Target But Not an Easy Sell

この半導体部門ですら、欧米企業が策を巡らし、タダ同然で簒奪するのではないか? と思っております。

正に、ハイエナが群がってきております。
「油断していたら、生きたまま食われちまう。」と言う国際ビジネスの厳しさを象徴する「生きたビジネス教材」であり、大変、勉強になりますねえ。
感心ばかりしておれませんが。

本件、徹底的にフォローします。

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